2017年末から制作を続けている写真作品群。simsukeの代表作で、これを基にインスタレーションや映像を制作している。現在、150枚程度の写真が存在する。
レンズの構造を用いて、光を乱反射させた写真で、主にイルミネーションや夜景など、強い光源が複数あるものを被写体(実際には被写体ではないが)として選び制作をしている。
構造としては、カメラ用レンズの中に乱反射する光をモチーフとしている。
カメラ用レンズは、実際には20枚ほどの凹凸非球面レンズなどが組み合わされていて、カメラのセンサーという一箇所に結像する様に作られている。
カメラを持つ撮影者は意図を持ってファインダーや画面を覗き、被写体=一つの決まった世界を撮影する。しかし、実際には撮影者が意図されていない世界もレンズに入っていくことになる。
それらの世界からの光は、凹凸様々なレンズの表面で(正確にはレンズのコーティングによって)反射し、その先のレンズで連鎖的に反射を起こし、どんどん乱反射をしていく。この作品では、LEDの光一つ一つがそれらの「センサーに収束されなかった無限の世界」を示している。
この現象を改めてカメラで撮影したのが”false”だ。これを撮影するためには、この現象が発生しているレンズにカメラを向けることになる。被写体はあくまでも「レンズ」である。このレンズに乱反射している光は意図していない効果、偶然映り込んでいるのである。そして、被写体の側からカメラを覗き込むことになり、撮影者と被写体の立場の逆転が起こるのである。